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一目均衡表 第一巻 まえがき その二

 相場は動かないか、動くか。動けば上げか、下げか。極めてカンタンなのでありますが、しかし実際にやって見るとなかなか儲からないのであります。 そこで新聞に、雑誌に、放送にと、あるいは人の意見に、ケイセンにと、いろいろ研究して、本来カンタンなものを非常に複雑化して、 いよいよ迷いを深めるのみであります。 いろいろと知ることは決して悪いことではありませんが、しかし幾ら研究しても、それによって複雑化するのではなく、それによっていよいよ 、単純化、簡単化することが大事であります。相場はやり初めは案外儲かるものでありますが、それが馴れるに従ってうまく行かなくなりますのも、 要するに複雑化するからであります。

 この均衡表とスパンの素晴らしさは、それが非常に単純化されているからであります。複雑に考えようにも、考えようのない。 仕組みになっているからであります。いかに頭の複雑な人でありましても、これを採用する限りにおいては、 否応なしに単純化されざるを得ないのであります。

   およそ相場をやる上におきまして、何が一番大事なことか。と言いますと、 申すまでもなく、『何を。何日。幾らでカウか、またはウルか。』ということであります。

 この頃のように、余りにも極端な跛行相場におきましては、果たして「何を」選んだらよいか。 やや調子付いた。と思われる株が幾つかある時、何れを選ぶべきかは、決して容易なことではありません。 人為的な相場であればあるほど、ちょっと調子付いたと思って詰らぬものを掴む。 という結果に陥り易いことは誰しも良く感じられているでありましょう。それに対して、 この均衡表とスパンは、ハッキリと「これだ」と決めてくれるのであります。

 次ぎには、この株が良い。と決まりましても、果していつ出発するか。それも決して容易ではありませんが、その順序を間違えますと、 何よりも回転が利かなくなります。しかしこの均衡表は、「これからいよいよ出発する」。という時期をハッキリ教えてくれるのであります。 さらには、新聞、雑誌を見ましても、人の意見によりましても、良く「押し目買い」「戻り売り」というのでありますが、 余りに抽象的でありまして、実際問題として、どこまでが押し目か。どこまでが戻りか。良く判らないのですが、 この均衡表とスパンは、何日、幾らになればカイ。幾らになればウリ。と決定的に教えてくれるのであります。 なお私が終戦後、一目山人というペンネームに改めましたのも、この均衡表において、 相場の帰趨は一目瞭然であるというほどの意味でありまして、この均衡表もまた一目均衡表と名付けた次第であります。

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昭和四十四年八月二十五日 一目山人著